この記事は AI が作成し、公開時点の一次資料に基づいています。
建設業の実行予算を毎月どう回すか
実行予算とは何か(積算・出来高管理との違い)
受注したはずの工事で、粗利が予定どおり残らない。そう感じたときに最初に疑うべき場所が、実行予算です。工事ごとに「いくらまでなら使ってよいか」の原価の計画がなければ、月の仕入と労務が膨らんでも、赤字に気づくのは完工後や決算後になります。
なお、「実行予算」は法令で定義された用語ではありません。本記事では、受注後に工事ごとに組み直す原価計画を指す、業界の一般的な用語として使います。積算や見積り(受注前の見込み)や出来高管理(進捗の金額把握)とは、起点が異なります。
実行予算とは何ですか。
受注後に工事ごとに組み直す原価計画です。見積書の数字を自社の実態(仕入単価・労務単価)に置き換えて組み直します。積算(受注前の見込み)や出来高管理とは異なり、受注した工事の粗利を実態ベースで見るための計画です。
実行予算はいつ見直すのですか。
受注直後に作成し、追加・変更工事が決まった都度更新します。月初に当月の材料・外注・労務の計画を組み、月末に仕入・労務・外注を工事ごとに集計して実行予算と突き合わせるのが月次のルーティンです。
実行予算でよくある失敗は何ですか。
見積書の写しで済ませて自社の実態に置き換えないこと、労務費が丸数字のまま現場記録とつながらないこと、追加・変更工事を実行予算に反映しないことの3つが典型的です。いずれも気づかないまま赤字が確定します。
実行予算の作成はAIに任せられますか。
見積書・仕入実績・労務単価のデータが揃っていれば、ドラクト作成や月末の集計・突合・差分の一覧化は自動化可能です。金額の決定と支払実行は人に残し、集計とリマインドから任せるのが実務的な順番です。
- 積算・見積り:受注前。まだ受かっていない工事の原価を見込む段階(積算を毎月どう回すか)
- 実行予算:受注後。受かった工事を、自社の実態で原価を組み直す段階(この記事)
- 出来高管理:着工後。進捗を金額で把握し、元請からの入金と下請への支払をつなげる段階(出来高管理を毎月どう回すか)
本記事での使い方として、その工事の受注金額から実行予算の合計を引いた残りが、その工事で狙える粗利になります。見積りの段階の数字のまま粗利を語るのではなく、受注後に自社の実態で組み直した数字で粗利を見る。この切り替えができるかどうかが、工事ごとの利益を毎月見える化できるかどうかの分かれ目です。
毎月どのタイミングで何を確認するか
- 受注直後(実行予算の作成):見積書の数量と単価を、そのまま写さずに組み直します。仕入先ごとの実際の掛け値、自社の労務単価、発注予定の外注単価に置き換え、工事ごとの原価の上限を決めます。ここで決めた数字が、以降の月次照合の基準になります。
- 月初(発注・人員の計画):実行予算の残りに対して、当月の材料・外注・労務の計画を組みます。残りを無視して発注が進むと、月の後半で「予算超過が分かったがもう手遅れ」になります。
- 月末(消し込みと照合):締めのタイミングで、当月の仕入・労務・外注を工事ごとに集計し、実行予算と突き合わせます。差が大きい工事から、原因が「単価」「数量」「計上漏れ」のどれかを確認します。
- 随時(元請からの入金時):元請から出来高分の支払を受けたときは、それに対応する下請代金の支払準備に入ります。支払期限は法律で決まっているため(後述)、実行予算の照合と並行して期限管理を回します。
どこで落ちるか
- 見積書の写しで済ませる:発注前の見積り数字を実行予算としてそのまま使い、自社の仕入単価・労務単価に置き換えないまま着工する。粗利の見立てが最初からずれた状態で工事が始まります。
- 労務費が丸数字のまま:現場の日報・工数記録と実行予算の労務費がつながっておらず、人が増えた月も原価が増えないまま処理される。
- 追加・変更工事が実行予算に反映されない:出来高には増えても、原価の上限(実行予算)が増えていないため、毎月「赤字」と映るか、逆に超過に気づかない。
- 下請代金の支払期限と社内の支払サイトを混同:元請からの入金日を起点にした法律上の期限と、社内の月末締め翌月払いを同じものとして扱い、気づかないまま超過する。
制度で押さえておく支払ルール
実行予算は制度で書式や様式が定められているものではありません。ただし、実行予算で管理する原価のうち外注費(下請代金)と労務費には、建設業法で支払のルールが定められています。ここを月次運用に組み込まないと、原価管理はできていても支払で法令に触れるリスクが残ります。
- 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません(建設業法第24条の3第1項)。
- 下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければなりません(同条第2項)。現場の労務費は、現金払いの前提で資金計画を組む必要があります。
- 元請負人が特定建設業者に該当する場合は、下請代金の支払期日は、下請負人からの引渡しの申出の日から起算して五十日を経過する日以前で、かつ、できる限り短い期間内に定めなければなりません(同法第24条の6第1項)。入金後1ヶ月のルールと起点が異なるため、両方を運用表に明記します。
出典: e-Gov法令検索「建設業法」第24条の3・第24条の6
また、令和6年の建設業法改正では、国土交通大臣が「労務費の基準」を作成・勧告できる規定が新設されました。労務費の見積りが著しく低い場合に発注者への勧告等につながる仕組みであり、実行予算で自社の労務単価を組む際にも、異常に低い単価を置いていないかを点検する意味があります(国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)。下請契約・下請代金支払の適正化については、国土交通省が通達等で繰り返し要請しています(国土交通省「建設産業・不動産業:関係通達等」)。
人がやる場合の手順
- 受注後1週間以内をめどに、見積書から実行予算を組み直す(仕入単価・労務単価・外注単価を自社の実態に置き換え、決裁を取る)
- 追加・変更工事が決まったら、その都度実行予算を更新し、更新前の数字を残す
- 月末に、仕入帳・労務記録・外注の支払データを工事ごとに集計し、実行予算と突き合わせる
- 差が大きい工事から原因を確認し(単価・数量・計上漏れ)、翌月の発注・人員計画に反映する
- 元請からの入金を起点に、下請ごとの支払期限(入金後1ヶ月以内。特定建設業者の場合は引渡し申出後50日以内も併記)をカレンダーに登録し、支払を確定させる
AI社員に任せられる部分
上記のうち、1の実行予算の「組み直し」は、見積書・仕入実績・労務単価のデータが揃っていれば、ドラフト作成はAI社員に任せられる範囲です。3の月末照合は、仕入帳と労務記録を工事ごとに集計し、実行予算との差分を一覧にするところまで自動化できます。4の差分の原因確認と5の支払確定の「承認」は人に残し、集計・突合・期限リマインドの部分から任せていくのが実務的な順番です。金額の決定と支払の実行は人に残すため、導入は「月末の集計と差分の一覧化」から始めるのが一番効きます。